この記事の要約
・走ると、かかとが痛いと言う
・休ませると治まるのに、練習に戻るとまた痛くなる
・病院では「2週間安静に」と言われて、その通りにしたのに繰り返す
スポーツをしているお子さんの、こんなかかとの痛みでお悩みではありませんか?
それは、成長期のかかとに起こるシーバー病(踵骨骨端症)かもしれません。
休むと痛みが引くのに、走るとまた痛くなる。
それには理由があります。
休めば炎症は引きますが、かかとに負担をかけている原因は、休むだけでは変わらないからです。
この記事では、シーバー病かどうかをご自宅で確かめる目安と、なぜ繰り返すのか、そして当院で実際に巻いているテーピングの方法をお伝えします。
走ると痛い、休むとまた痛い
かかとの痛みを訴えるお子さんを連れて来られる親御さんは、たいてい同じ経過をお話しされます。
走っていると、かかとが痛いと言う。
痛みがあるから休ませる。
痛みがなくなったのでまた走ると、痛くなる。
病院では「2週間安静に」と言われて、2週間休んで痛みがなくなったのに、復帰したらまた痛くなった。
お子さん本人に聞くと、こんな言い方をします。
・走り始めた時に痛い
・歩くのはまだまし
・速く走ると痛みが強くなる
・長く走ると痛みが強くなる
・ジャンプができない
当院では、陸上をしている小学生や、サッカー・バスケットボールの子が多い印象です。
共通しているのは、ダッシュの多い競技だということです。
時期としては、新学期が始まった頃と、運動会の前後にご来院が多くなります。
練習量が急に変わる時期です。
シーバー病かどうか、ご自宅で確かめる目安
こんな状況の、成長期のかかとの痛みは、シーバー病を疑います。
その際に当院で確認するのは、かかとの骨の後ろ側です。
両側から挟むように押します。
シーバー病は、アキレス腱がかかとの骨に付いているあたりに痛みが出ます。
悪化してくると、かかとの下にも痛みが出ることがあります。
ここで、見分けの目安になるポイントがあります。
同じようにかかとの痛みでも、かかとの下の痛みから始まった場合は、シーバー病ではなく、足の裏の腱の炎症(足底腱膜炎)の可能性が高くなります。
朝起きた時に痛むのも、足底腱膜炎に多い特徴です。
お子さんに聞いてあげてほしいのは、この4つです。
・どこから痛くなった? → かかとの後ろならシーバー病、かかとの下なら足底腱膜炎の可能性
・どこが痛い? → かかとの骨の後ろを両側から挟んで確かめる
・どうしたら痛い? → 走り始め・ダッシュ・ジャンプで痛むのがシーバー病に多い形
・痛くなる時間帯は? → 朝起きた時に痛いのは足底腱膜炎に多い
ひとつ、注意していただきたいことがあります。
くるぶしの周りや、足の甲の骨そのものを押して痛い場合は、疲労骨折の可能性も考える必要があります。
運動していない時や、夜になっても痛む場合も同じです。
その時は自宅で様子を見ずに、病院で診てもらってください。
足底腱膜炎については、こちらの症例で詳しく書いています。
成長期の足裏の痛みが治らない|中学生バスケ部員の足底腱膜炎が改善した症例
シーバー病とは|レントゲンに写らないことも多い
シーバー病は、正式には踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)といいます。
かかとの骨の後ろ側には、成長期のお子さんにしかない、成長軟骨という骨が伸びるための部分があります。
ふくらはぎの筋肉は、アキレス腱を通って、ちょうどこの成長軟骨のあるところに付いています。
走ったりジャンプしたりを繰り返すと、この付け根に負担が集中して、炎症が起こります。
これがシーバー病です。
「かかとの成長痛」と呼ばれることもあります。
ここで知っておいていただきたいのが、レントゲンのことです。
シーバー病は骨ではなく軟骨の炎症なので、レントゲンを撮っても異常が写らないことが多いのです。
病院で「骨は折れていないけど……」という説明を受けて、様子を見ることになった。
そういう経過で来られるお子さんも少なくありません。
写真に異常がないことと、痛みの原因がないことは、別の話です。
なぜ、休んでもぶり返すのか
安静にすれば、炎症は引きます。
だから痛みは消えます。
でも、休むと炎症は引きますが、原因は残ります。
当院では、かかとに負担が集中する原因を、こう見ています。
扁平足などで足のアーチが崩れていると、足首に負担がかかります。
ふくらはぎの筋肉は、足首を動かす時のクッションの働きをしています。
アーチが崩れたままだと、そのクッションにかかる負担が増えて、ふくらはぎの付け根であるかかとの成長軟骨のところに集中します。
また、姿勢の崩れからふくらはぎが硬くなり、足首の動きが悪くなっているお子さんもいます。
かかとが外を向いてしまっている子も多く見られます。

つまり、繰り返すのは治っていないからではなく、かかとに負担をかける状態がそのままになっているからです。
だから、休ませることと、負担の原因を整えることは、セットで考える必要があります。
当院で実際に巻いているテーピング
ここからは、当院でシーバー病のお子さんに実際に巻いているテーピングをお伝えします。
目的は3つです。
・ふくらはぎの筋肉の働きを補助する
・かかとをサポートする
・足のアーチを補助する
どれも、かかとの成長軟骨にかかる負担を減らすためのものです。
使うのは、5センチ幅のキネシオテープ(伸縮するテープ)です。
ドラッグストアやスポーツ用品店で手に入ります。
長さは、この4本を目安にしてください。
・長さ25センチ 3本(1本目・2本目・4本目)
・長さ20センチ 1本(3本目)
貼る時の引っ張り具合は、テープが伸び切った状態を10とすると、6〜7くらいの強さで引っ張りながら貼ります。
まず、1本目です。
25センチのテープを、かかとの下から貼り始めます。
かかとの外側を通って、アキレス腱を越えて、ふくらはぎに向かって貼り上げます。
2本目も、25センチのテープです。
同じようにかかとの下から貼り始めて、今度はかかとの内側を通します。

アキレス腱のところで1本目と交差させて、ふくらはぎへ貼り上げます。
かかとを2本のテープで包んで、ふくらはぎでVの字になる形です。
3本目は、20センチのテープです。
テープの真ん中を、かかとの後ろの真ん中に当てます。
そこから両側を、足先に向かって貼ります。

4本目は、25センチのテープです。
小指の付け根の出っぱっている骨を目安にして、足をぐるっと巻きます。
この時、外側は持ち上げるようにギュッと強めに、内側は軽く引っ張る程度にしてください。

これがアーチの補助になります。
貼ったままで、3〜4日はもちます。
ただし、かゆみが出やすいお子さんや、違和感がある時は、すぐに外してください。
練習の時だけ、学校に行く時だけ、という使い方でも構いません。
ひとつ、大事なことをお伝えします。
テープを巻くこと自体は、治療ではありません。
テーピングは、負担を減らして回復を助けるための補助です。
テーピングの考え方は、こちらに詳しく書いています。
接骨院が捻挫や肉離れのケガにテーピングや包帯やギプスをまく理由
目安として、2週間続けてみてください。
2週間たっても痛みが変わらない時は、負担の原因が大きいと考えて、診てもらうことをおすすめします。
やってはいけないこと
一番やってはいけないのは、痛みを我慢して練習を続けることです。
炎症が引く前に負担をかけ続けると、痛みが強くなり、休む期間もかえって長くなります。
それから、こういう場合も注意してください。
楽になったと思って練習を再開したら、また痛くなった。
これは、かかとに負担をかける原因が解消されていないサインです。
休ませるだけでなく、治療が必要な状態だと考えてください。
練習は休ませるべき?続けさせていい?
基本は、まず安静です。
目安は2週間。
早く負担を減らしてあげるほど、炎症は引きやすくなります。
完全に休ませる選択をしても構いません。
そして、休んでいる間が大事です。
この期間に、テーピングで負担を減らしながら、アーチや足の使い方といった原因の方を整えていきます。
そこから、少しずつ復帰していきます。
大会前などで、どうしても休めない場合もあると思います。
その時は、治療を続けながらテーピングで補助をして、「痛みはあるが動ける」という条件つきで進める方法を取ります。
どこまでやってよいかの線引きは、お子さんの状態を見ながら一緒に決めていきます。
自己判断で無理をさせないであげてください。
こんな時は、早めに診てもらってください
セルフケアでできるのは、痛みを早く引かせる手助けと、予防です。
かかとの後ろが突っ張る程度で痛みが少ないなら、負担を減らすことで改善が見込める場合もあります。
ただ、痛みを気にせず思い切り運動できるところまで戻すのは、セルフケアだけでは難しいことが多いのです。
受診の目安として、ふくらはぎの張りを確認してあげてください。
ふくらはぎを触って、張っている場所がアキレス腱やかかとの骨に近いほど、早めに来ていただきたい状態です。
また、転んだり、ぶつけたりした後のかかとの痛みは、シーバー病とは別に考える必要があります。
その場合は、こちらの記事を確認してください。
かかとが痛い|病院で「異常なし」と言われても痛みが続くときに確認したいこと
歩くのも痛かったバスケの男の子の経過
実際に当院にご来院されていた患者さんの症例をご紹介します。
バスケットボールをしている、小学6年生の男の子です。
走るどころか、歩いても痛みがある状態で来院されました。
行ったのは、この4つです。
・ふくらはぎの緊張をゆるめる
・かかとの軸を調整する
・足指の動きを整える
・足首の動きのトレーニング
初回の施術で、歩くのは楽になりました。
3回目で競技に復帰。この時点では、まだ少し痛みが残っていました。
6〜8回ほどで、ほぼ気にならない状態になっています。
経過には個人差がありますが、かかとそのものだけでなく、ふくらはぎ・足指・足首と、負担の原因から整えていくのが当院の進め方です。
かかとに負担がかかるのは、アーチや足の動きの問題からです。
休めば炎症は引きますが、原因が残っていれば、走ればまた痛くなります。
まずは2週間を目安に休ませて、その間にテーピングで負担を減らしてあげてください。
それでも繰り返す時は、アーチや姿勢まで含めて、負担の原因を整えることが大事です。
成長期のかかとの痛みは、体が成長し切れば起こらなくなるものです。
だからこそ、それまでの時間を「痛くて走れない」で過ごさせたくない、と私は考えています。
お子さんのかかとの痛みでお悩みの方は、無理をせず、まずはお気軽にご相談ください。
(鍼師・灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師 星野泰隆監修)
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この記事の要点
・シーバー病は、成長期の子のかかとにある成長軟骨に炎症が起こるもの
・目印は、かかとの後ろ(アキレス腱の付け根あたり)の痛み。かかとの下の痛みは足底腱膜炎の可能性
・軟骨の炎症なので、レントゲンで異常が見つからないことも多い
・休むと炎症は引くが、アーチの崩れなど原因が残っていると繰り返す
・当院で実際に巻いているテーピング4本の手順を紹介(5センチ幅のキネシオテープ)
・まずは2週間を目安に安静。ふくらはぎの張りがかかとに近い時は、早めの受診を
この記事を書いた人

今治市で星野鍼灸接骨院の院長をしている星野泰隆です。
鍼師・灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師という4つの国家資格を持ち、20年以上にわたって地域の皆さまの体のお悩みに向き合ってきました。
実は私自身、子どもの頃からケガが多く、足首の捻挫のせいで高校生まで全力で走ることができませんでした。
だからこそ、走れない悔しさを抱えているお子さんの力になりたいと思っています。












