この記事の要約
お尻から足にかけて痛むのに、病院では「異常なし」
坐骨神経痛と言われて痛み止めを出されたけれど、なかなか良くならない——そんな方は少なくありません。
画像(レントゲンやMRI)は、骨や神経の「形」を写すものです。
痛みは、その「形」だけでなく、筋肉や関節の「動き・働き」、そして毎日の体の使い方の積み重ねから起こることもあります。これは、止まった瞬間を写す画像には映りにくいものです。
この記事では、なぜ画像で異常なしでも痛むのか、当院の検査でわかること、そして画像で異常なしと言われながら楽になっていった、介護のお仕事をされている30代女性の例をお伝えします。
この記事の要点
・「坐骨神経痛」はお尻から足にかけての痛み・しびれの状態を指す言葉で、病名ではない。原因は人によって違う
・画像(レントゲン・MRI)は体の「形」を写すもの。動きや筋肉の働きの問題は写りにくい
・ヘルニアや変形があっても、それが必ず痛みの原因とは限らない、と今は考えられている
・当院は痛む場所だけでなく、可動域や筋力の左右差から全身の負担を調べて整える
・介護のお仕事の30代女性は、画像で異常なしでも、検査で股関節・骨盤・背骨の負担が見つかり、楽になっていった
・足の力が入らない・感覚のマヒ・排尿排便のトラブルなどは、すぐに医療機関へ
この記事を書いた人
今治市で星野鍼灸接骨院の院長をしている星野泰隆です。
鍼師・灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師という4つの国家資格を持ち、20年以上にわたって地域の皆さまの体のお悩みに向き合ってきました。
痛む場所だけを診るのではなく、体全体の負担を見て、回復しやすい状態に整えることを大切にしています。
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「お尻から足にかけて痛むのに、病院では『異常なし』と言われた」
「坐骨神経痛と言われたけれど、痛み止めを出されただけで、なかなか良くならない」
「歩いても座っても痛くて、痛み止めが手放せない」
こんなお悩み、ありませんか?
坐骨神経痛で「画像は異常なし、しばらく様子を見ましょう」と言われ、痛みだけが続いて困っている方は、本当に多いんです。
私の治療院にも、こうしたご相談で来られる方がいらっしゃいます。
でもご安心ください。
画像で異常が見つからなくても、痛みにはちゃんと原因があることがあります。
画像に映りにくい「筋肉や関節の動き」や「毎日の体の使い方」に目を向けると、楽になっていく方がいらっしゃいます。
そもそも「坐骨神経痛」は病名ではありません
まず知っていただきたいのは、「坐骨神経痛」は病名ではない、ということです。
お尻から太もも、ふくらはぎ、足にかけて出る痛みやしびれ——その「状態」をまとめて呼ぶ言葉です。
かぜでいう「せき」や「鼻水」のようなもので、同じ坐骨神経痛でも、その奥にある原因は人によって違います。
だからこそ、「坐骨神経痛ですね」で終わりにせず、その人ごとの原因を見つけることが大切なんです。
なぜ「画像で異常なし」なのに痛むの?
「レントゲンもMRIも撮ったのに異常なし。それなのに、こんなに痛い」
不思議に感じますよね。
ここには、画像という検査の「得意なこと」と「苦手なこと」が関係しています。
画像(レントゲンやMRI)は、骨や軟骨、神経の「形」を写す検査です。
例えるなら、止まった瞬間の「体の設計図」のようなもの。
一方で痛みは、体を動かしたときに出ることがよくあります。
筋肉のこわばり、関節の動きの悪さ、左右のバランスのくずれ——こうした「動き・働き」の問題は、止まった画像には映りにくいんです。
つまり「画像は異常なし」というのは、「形に大きな異常はない」という意味であって、「痛みの原因がない」ということとイコールではありません。
ヘルニアや変形についても、同じことが言えます。
以前は、ヘルニアや背骨の変形が痛みの原因と考えられていました。
でも今は、ヘルニアや変形があっても、それが必ず痛みを出しているとは限らない、と考えられています。
実際、痛みのまったくない方を調べても、ヘルニアや変形は珍しくありません。
ですから「画像にヘルニアがある=それが痛みの原因」とは、言い切れないのです。
これは、病院の検査が無意味だという話ではありません。
画像は、骨折や腫瘍など見つけておくべき重大な異常がないかを確認する、大切な検査です。
そのうえで「形に大きな異常はない」とわかったら、次は「動きや働き」を調べる番、ということなんです。
【実例】お尻から足の痛みで、痛み止めが手放せなかった30代女性
ここで、実際にあった例をご紹介します。
介護のお仕事をされている30代の女性です。
インターネットで当院を見つけて、来てくださいました。
お尻から太もも、足首にかけて痛み、歩いているときも、座って休んでいるときも、時間に関係なく痛むという状態。
痛みが気になって、痛み止めを1日3回、飲み続けていました。
病院ではレントゲンとMRIを撮り、「少しヘルニアはあるけれど、それが痛みの原因になるほどではない。異常なし」と言われ、痛み止めを処方されたそうです。
ご本人は、こう感じていました。
「異常がないのに、どうしてこんなに痛いんだろう」
「痛み止めはなるべく飲みたくないけれど、痛みが出るのが怖くて、つい飲んでしまう」
お仕事では、体の大きな方の移乗や体位変換を一人で行うこともあり、どうしても無理な姿勢になりがちだったといいます。
来院されたときは、「これだけ痛いのが、本当に楽になるのか」「怖い治療をされないか」「そもそも原因は何なのか」と、不安そうな様子でした。
当院の検査でわかったこと
体の動きと筋力を調べていくと、いくつかのことがわかりました。
・股関節を曲げる動きに、制限があった
・骨盤の傾きや、背骨のバランスのくずれが見られた
・体の動きや筋肉の張りに、左右差があった
楽に体を動かしづらく、片側に負担がかかりやすい状態だったのです。
原因として見立てたのは、お仕事での体の使い方でした。
楽な姿勢が取れない場所での介助、体の大きな方を一人で支える動作。
体を曲げたりひねったりする無理な動きが積み重なり、腰やお尻まわりに負担がたまっていたと考えられました。
ここがポイントです。
画像では「異常なし」でも、動きと筋力を調べると、こうした負担の積み重ねと動きの問題が見つかったんです。
どう整えていったか
特に制限の強かった股関節の動きから整えていきました。
股関節は、腰を前から支える筋肉ともつながっています。
ここがスムーズに動くようになると、腰を伸ばしやすくなります。
あわせて、骨盤の傾きや背骨のバランスも整え、体の重心が安定して、曲げ伸ばしや立つ動作が楽になるようにしていきました。
痛む場所(お尻や足)だけを揉むのではなく、痛みを生んでいる全身の負担に向き合った、ということです。
治療の経過
変化は、少しずつ段階的に進みました。
通院は、はじめは1週間おき。
良くなるにつれて、2週間、3週間と間隔をあけていきました。
初回のあとは、痛みは残るものの動きやすくなり、立ち上がりが楽になりました。
動けるようになって少し動きすぎたのか、3日ほどして痛みが強くなったそうですが、その後は落ち着きました。
1週間後の2回目は、治療のあとに足の痛みが軽くなり、歩きやすくなってきました。
ただ、まだ少し足を引きずる感じが残っていました。
さらに1週間後の3回目になると、治療後の痛みの戻りも少なくなり、何もしていないときの痛みは、あまり感じなくなりました。
仕事終わりはまだ痛むので痛み止めは飲んでいたものの、痛みはかなり軽くなっていました。
2週間あけた4回目には、痛みはほとんど気にならないところまできました。
間隔があくと、歩くときに足が動きにくい感じが出ることもありましたが、治療を受けるとまた楽に歩けるようになっていました。
3週間後の5回目では、来院の前日くらいに少し痛みが戻る程度で、楽な状態が続くようになりました。
そして今は、月に1回のメンテナンスを続けています。
ほとんど気にならないレベルで、体の大きな方の対応が続いたり仕事が立て込んだりすると、あとでしんどくなることはありますが、長く引かず、すぐに回復するそうです。
経過の中で、ご本人がこう話してくださいました。
「本当に良くなるんか心配やったけど、治療が終わったら普通に歩けるようになるのが嬉しい」
痛み以外では、夜、楽に眠れるようになったとのことでした。
痛み止めは、以前より減らせていますが、不安もあって完全にはやめていません。
それでいいと思っています。
メンテナンスを続けているのは、お仕事で体に負担がかかるのは避けられないから。
整えながら、無理なく仕事を続けるための通い方です。
痛み止めとの付き合い方
痛み止めは、つらい痛みを抑えてくれる大切なお薬です。
無理に今すぐやめる必要はありません。
ただ、痛み止めは「痛みを抑える」ものであって、「痛みの原因そのものを治す」ものではありません。
だからこそ、痛みを生んでいる原因に向き合っていくことが大切なんです。
治療で痛みが落ち着いて、「今日は気にならないな」という日が増えてきたら、そのときに飲まないという選び方をしてみてもいいかもしれません。
「飲まないと不安」という気持ちは、とても自然なものです。
どうか無理はなさらないでください。
なお、お薬の量や飲み方を変えるときは、処方してくれた病院の先生に相談すると安心です。
こんなときは、まず医療機関へ
坐骨神経痛の多くは、体の使い方や負担を整えていくことで、楽になっていきます。
ただし、次のような場合は、自己判断せず、まず医療機関を受診してください。
・両足に痛みやしびれが広がる
・足に力が入らない、つまずきやすいなど、力の入りにくさが進んでいく
・お尻や内ももの感覚が鈍い
・排尿・排便がしにくい、または漏れてしまう
・強い発熱を伴う、安静にしていても夜眠れないほど激しく痛む
これらは、急いで対応したほうがよいサインのことがあります。
気になる症状があるときは、念のため医療機関で相談しておくと安心です。
まとめ
坐骨神経痛で「画像は異常なし」と言われても、それは「痛みの原因がない」という意味ではありません。
画像に映りにくい、筋肉や関節の動き、そして毎日の体の使い方の積み重ねに、原因が隠れていることがあります。
痛む場所だけでなく、全身の負担を調べて一つずつ整えていくと、楽になっていく方がいらっしゃいます。
・「坐骨神経痛」は状態を指す言葉で、原因は人それぞれ
・画像は「形」を写すもの。動き・働きや体の使い方の問題は写りにくい
・ヘルニアや変形があっても、それが必ず痛みの原因とは限らない
・痛む場所だけでなく、全身の負担を検査して整えると楽になることがある
・足の力が入らない・感覚のマヒ・排尿排便のトラブルなどは、すぐに医療機関へ
「異常なしと言われたのに痛い」と、不安なまま我慢されている方も、どうか一人で抱え込まないでください。
お尻から足にかけての痛みや、なかなか引かない坐骨神経痛でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
体の動きや負担を一つずつ確認しながら、その方に合った形で整えていきます。
(鍼師・灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師 星野泰隆監修)
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