最近、手首や親指の痛みに悩む方からのご相談が増えています。
特に腱鞘炎の症状を訴える患者さんが多く、幅広い年齢層や職業の方々からご相談をいただいています。
仕事でパソコンを長時間使用する方や、家事や育児で手首を酷使する方など、日常生活の中で手首や指を頻繁に動かすことが腱鞘炎の引き金となっているケースが目立ちます。
一見すると異なる生活環境に見えますが、実は腱鞘炎の症状を持つ方々には、ある「意外な共通点」があります。
それは、皆さんが抱える肩や背中のコリで肩甲骨が動きにくくなり、手首や親指の痛みを悪化させているということです。
実際に、肩甲骨周りの筋肉をほぐすストレッチを取り入れることで、手首や親指の痛みが軽減されたという報告も少なくありません。
そこで今回は、「腱鞘炎の悪化を防ぐ肩甲骨ストレッチ」をご紹介します。
手首や親指に直接負担をかけずに、体全体のバランスを整えることで、腱鞘炎の症状を改善する方法について詳しく解説していきます。
手首と親指が痛い!腱鞘炎にストレッチが有効な理由とは?
「腱鞘炎はストレッチで改善できるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
腱鞘炎は使い過ぎが原因ですので、「指や手首を休ませること」が最も重要ですが、実はそれだけでは十分な改善が見込めない場合があります。
腱鞘炎は、指や手首の使い過ぎによって腱と腱鞘で摩擦が起こり、炎症を引き起こす状態です。
安静にして休ませることで炎症は軽減できますが、指や手首の使いすぎによる筋肉の緊張が十分にゆるまないままになります。
炎症が軽減して痛みが和らいでも、筋肉の緊張が残ったままだと、筋肉と骨をつなぐ腱のガイドである腱鞘への負担が大きくなり、再び炎症を引き起こしやすくなります。
ストレッチを行うことで、緊張している筋肉を緩めることができるため、腱鞘への負担が軽減し痛みが改善するということです。
ストレッチは指や手首を動かす腕の筋肉を中心に行いますが、もうひとつ大事な場所があります。
それは、肩甲骨を動かす筋肉です。
親指の腱鞘炎の改善のポイントは肩甲骨のストレッチ
肩甲骨のストレッチが親指の腱鞘炎に効果的な理由は、肩周りの筋肉と神経が手や指と密接に関連しているためです。
次の3つのポイントから、その効果について説明します。
1. 神経のつながりへのアプローチ
肩や首の筋肉は、手首や指の神経とつながっています。
肩甲骨周りの筋肉をほぐすことで神経の緊張が緩和され、手や指への血流が改善されます。これにより、親指の腱鞘炎による痛みが改善しやすくなります。
2. 筋肉の緊張緩和
肩甲骨のストレッチは、腕全体の筋肉をリラックスさせ、手首や指への負担を軽減します。
特にデスクワークやスマートフォン操作で肩こりを感じやすい方には、効果的なアプローチとなります。
3. 姿勢の改善
肩甲骨を意識して動かすことは、姿勢の改善にもつながります。
正しい姿勢を保つことで、肩や首への負担が減少し、結果として手首や指の腱鞘炎のリスクも軽減されます。
このように、肩甲骨周りの筋肉をほぐすことは、腱鞘炎の改善において重要な役割を果たしています。
腱鞘炎の悪化を防ぐ!効果的なストレッチ方法
それでは、腱鞘炎の症状を悪化させないための具体的なストレッチ方法についてお伝えします。
◉肩甲骨すいすい体操
① 手を肩の高さにまっすぐ前に出します② 手を伸ばし肩をすくめるように肩甲骨を前に出します③ 精一杯前に出したら、今度は肘を後ろに引いてきます④ 肩の高さよりも肘が下がらないよう、肩甲骨を寄せます
⑤ ①~④を10回繰り返します
⑥ 手を真上にあげます(できれば耳よりも後ろ)⑦ 真上に肩甲骨を持ち上げるように上に伸ばします⑧ 精一杯上にあげたら、今度は肘を下に下げます
⑨ 体の後ろで肩甲骨を寄せるように肘を引き付けます⑩ ⑥~⑨を10回繰り返します。
それぞれ10回を目標にして、ゆっくりと繰り返しやってみてください。
◉二つ目は脇と背中の筋肉のストレッチです。(右手の場合)
このストレッチは座っても立ってもできます。
ブログでは、立った状態でのやり方、動画では座った状態でのやり方を説明しています。
※動画はブログ冒頭にあります。そちらをご覧ください。
①足を肩幅に広げます
②顔の位置はそのままで右お尻に体重をかけます③体が左に傾いてきますので、右手を上げるように大きく側屈します④その状態で10秒伸ばし、ゆっくり戻ります
※背中から脇が伸びる感じがあればOKです。
これを左右2回繰り返します。
この二つのストレッチで肩甲骨周りの筋肉がほぐれて、肩や腕、手首や指の動きも良くなって腱鞘炎が改善してきます。
手首のストレッチも合わせて行うことで、より効果的なことが多いです。
こちらも合わせてご覧ください。
腱鞘炎を改善するストレッチとは?手首や指の痛みが悪化するのを予防する方法
まとめます。
手首と親指が痛い腱鞘炎でお悩みの方の意外な共通点は、肩甲骨が悪くなっていることです。
肩甲骨の動きは腕の動きとつながっているため、肩甲骨の動きをよくすると、手首や親指の負担が軽減し、腱鞘炎の症状を改善することができます。
日常生活の中で簡単にできるストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張が緩和され、痛みの軽減につながります。
特に、デスクワークやスマートフォンの使用が多い現代の生活では、定期的なストレッチが体のケアに重要な役割を果たします。
無理のない範囲で続けることで、徐々に体の変化を実感できると思います。
今回ご紹介したストレッチを、ぜひ毎日の習慣に加えてみてください。
家事や仕事の内容、姿勢のクセなど個人差もありますので、まずは1〜2週間続けてみてください。
今回のストレッチを行っても腱鞘炎がなかなか改善しない場合は、炎症がひどい場合や、そのほかの原因が隠れているかもしれません。
その際は、当院までご相談ください。
(鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師 星野泰隆監修)
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